ふうらかん(風羅漢)
野の羅漢、旅の羅漢という意味合いで「ふうらかん」と名づけました。
風の中の羅漢、風のように巡る羅漢たちのことです。
羅漢は、梵語 arhatの音写「阿羅漢」の略で、仏教修行の最高段階に達した人の称号です。少年時代の私を慰め、励ましてくれた郷里の石仏たちは、五百羅漢として慕われていました。
風羅という言葉は、芭蕉の造語で、『笈の小文』の冒頭に使われています。風に破れ易いうすもの(芭蕉葉)の意で、自ら風羅坊とも名乗っています。風来坊の響きもあれば、傷つき易い精神放浪のイメージもあります。
芭蕉の弟子の惟然は、風羅念仏と称して、師の俳句を唱えて回りました。
この吟遊師弟の風羅精神も、また私の青年時代からを支えてくれました。
「ふうらかん」は、風羅と羅漢をかけ合わせて出発した言葉ですが、いまは、さらに大きくイメージが膨らんで、
「風」は、宇宙のエネルギーとその変動、
「羅」は、宇宙が一枚の織物であること、
「漢」は、宇宙にある生命体の一つ一つ、
と、そんなふうに発展してきました。