風羅草紙

白露

白露



露の消息 ― 川端茅舎

 明方大露、秋立つて初めて芭蕉に露の玉の行列が出来た。露曼陀羅の露が出来た。整然たる露の小佛の中に要処々々に露の大佛が交つて諸佛諸菩薩の位置を示し広葉のささへりを露の小流れが出来てポタリポタリと雫してゐる。美しい日が昇つて来て露の諸佛は光り輝き生きた大曼陀羅が一枚々々の広葉々々に描かれたのである。空は秋晴の瑠璃玻璃。芒も新草も光り輝き白芙蓉の白特別に眩しい。今朝は秋の烈日で露の消滅が早い。だが露の消滅した芭蕉も芒も日に透き通つてゐてみづみづしい。(8月15日)

−現代俳句の世界3「川端茅舎集」朝日文庫



露表紙前頁(青露)次頁(甘露)

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