[TOP][表紙][目次][前頁][次頁]


春とピアノ アイコン

ディック7



羅漢寺へ行って
もう一本
詩のルートが開かれた。
蘇生の春に
幾つかのブログで
フキノトウの緑を見た。
妻の鉢にも
オキナグサの花芽が初めて伸びた。

厳しい冬を
ディック・ツワージクの
たった数曲でくぐり抜け、
春よ来い
歩き始めたジイちゃんが
アルバム聴きたいと待っている。

ディック関連は
ほとんど廃盤、
一枚はフランスから船に乗って
予定の三週間経っても届かない。
(ドドは半年かかった)
昨日、オークションで
チェット・ベイカーを落札した。
チェットがディックを連れて来る。

そろそろ黄蝶も
飛び回るだろう。

天から淋しい身の上ならば
天まで笑うこともある――

春に
惨事も多いけれど
山は
草木は
笑うだろう。
日は照り
鳥はさえず
ピアノは鳴るだろう。
ピアニッシモの
魂魄も
響き合うだろう。

一息ついたら
ディック
とりあえず
ピザでも食べて
妻のお好み焼きなら絶品だよ!

Dick, you is my pianoman.

無惨
で済まされるものなんてない。
ディック
あなたのピアノが楽しみだ。



  (二〇一一年三月一日―三月二一日)




泉井小太郎 春とピアノ―[TOP][表紙][目次][前頁][次頁]