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ドド2
あの世界と
この世界で
ドドは帰って来た
聞いたところでは
ルルもいつの間にか
町へ帰っていたそうだ
そのことは
うれしいことなのかどうか
よくわからないが
ドドも
ルルも
いったい何処へ行ってたのか?
ということの方が
ここで切れている。
いつ書いたのか、
ハタ印の
昔むかしに買った原稿用紙に鉛筆で。
ディックや
ドドの
私家録音を聴くように
密かなおのが文字を辿る。
次のページには
つわぶきに
黄色いものの来て止る
と俳句が一つ。
(してみると
あの黄蝶は
ディックだったのか)
それはともかく
反故の中に
ドドがいて
ドドらしく困っていた。
小さな体
大きな頭
ドドのニックネームは
絶滅の鳥から付けられたそうな。
ディックも
ドードーも
それきり復活しなかったが、
十年の空白があって、ドドは帰ってきた。
いったい何処へ行ってたのか?
いったい何処へ行ってしまうのか?
再び、
ドドは消えて
次に消息が届くのは三十年後。
泉井小太郎 春とピアノ―[TOP][表紙][目次][前頁][次頁]