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ドド1



首尾よくゆけば
――と
ディックはいつも弾き始める。
ディックのおかげで
まずまず
言葉はもつれずに来て、
こんなに詩を書くのは
二〇〇三年の冬、
最後に「小鳥の塒」を仕上げて以来。

その最終連:
 空はまた翳って/風を狂わせ
 これからいっきに/氷点下に向かう
 そう夕刊の予報にある
暗示的だね。
嵐を告げたのは
朝刊だったけれど、
一面まっしろ
あれから八年も経ったのだ。

あれから十年も経って
ドドも帰って来た!
と言っても一九六一年のこと。
ディックより六歳年上の
マイケル・ドド・マーマローサは、
シカゴのスタジオで
久々の鍵盤に指を躍らせた。
五月というのが、いい季節だったね。

「me and my shadow」

ディックを知る前は
この一年
この人のことを気に掛けてきた。


ドド


泉井小太郎 春とピアノ―[TOP][表紙][目次][前頁][次頁]