禅林の高僧から、河原乞食の群へ。
さらに年老いては、草鞋を作り、酢を売った桃水さん。
無名匿名に徹したこの散聖を、どう表現するかなどとはおこがましく、
お顔もわからないのをいいことに、好きに作らせていただきました。
ボロを着て、貝殻の鉢をてのひらに。
ふる雨や、ふる光、おあしでも残飯でも、さげすみでもあわれみでも、
何でもかまわず受けてくださるのでしょう。
わたしの幼い敬慕のこころも、勝手な造作も、
桃水さんはたぶん、吹く風のように受け流してくださるはずです。
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