近くの公園の入口に泰山木が一本立っています。その下で拾った実が素適で、長い間文房に飾って愛玩していました。風格のある古筆のようで見飽きません。手で触ってもしっくりきます。いつかそれでふうらを描いてみたいという誘惑にも駆られました。
一年経って新しい実を拾い、一本を筆に使わせてもらいました。
2012年の夏の事。当時のブログから:
泰山木筆
タイサンボクの実を新たに拾ったので、
筆として遊ばせてもらった。
手に持った感じもいいし、風格は申し分ない。
風格はね。
描き心地はもちろん硬い。
それは筆草と異称のあるオキナグサでもそうだから、承知の上。
穂先に棘が何本か出ているので、線が割れたりする。
水で薄めた淡墨も試みたが、これはご愛敬。
竹ペン愛好者としては、十二分に楽しめる。
数枚のふうら画を描いて、相棒にバトンタッチ。
彼女はタイサンボクの実そのものをスケッチ。
和紙でも洋紙でも味が出て、お気に入りに。
(2012.8.10)
市販の竹筆藁筆以外に、野生の植物を筆にして遊んだのは翁草以来、実に十二年振り。筆としての良し悪しではなく、翁草、泰山木と気を一つにして描くというところに何とも言えぬ魅力があります。