芒で描く
ススキは、<ふうら>にとっても思い入れのある植物。風にそよぐのは草の穂だけではなく、人のこころも同じ。旅にあれば、より共鳴同調する。
ふうら像の旅の杖は、アトリエ(哀愁館)の前を流れる犀川河原に生えていたクローバー、オオヘラバコ、マメグンバイナズナが基本三種。ススキは特別アイテムではあったけれど、やや大柄な、大きな手のひとが愛用した。
そんなススキを初めて筆に使う。昔から夢想の筆ではあった。
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散歩で見つけたきれいなススキ。紫色で先っぽが白い。色が褪せたので、念願の筆になってもらった。
拾得はすすきで空を掃いてをり
寒山はすすきで空に書いてをり
寒山は空に穂で書いたろうが、小生は葉書に茎の方で描く。
ススキと言えば、この言葉。
「あ、西さん、あ、東さん。あ西さん。あ南さん。あ、西さん」
ススキが風に吹かれて喜んでいる様子。宮沢賢治の『種山ヶ原』『風の又三郎』に出て来る。これを真似たススキ体操を時々する。
風に吹かれるなら、このひと。思わずススキでつむじのように描いた。ちょうどiTunes シャッフルで「ドアをあけて」が流れる。
(Twitter 10.18)
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ススキ一本で、寒山拾得、宮沢賢治、ボブ・ディランと古今の詩人・自由人と遊ぶことが出来た。そのうちいつか、寒山に倣って穂の方で大きな空のような紙に描いてみたいものだ。