ふうら草紙


草筆


好きな小路がある。バラが一株植わっている。
一昨年まで隣に町工場があって、仕事があると金屑が出た。深い紅のバラと、錆びた茶色の、青や銀のメッキの、種々様々な金属屑。その取り合わせが妙にシュールな風景であったり、フラメンコな雰囲気であったり、散歩の途上で、ふっとこちらが異邦人感覚に陥るのが面白かった。

たった一株だけれど、いつ通っても花を咲かせていたような気がする。工場が解体されても、バラは淋しく咲き続けた。ことし(2017)の正月に通った時は、花が一輪開いて、硬い蕾が一つあった。次に通ると、何があったか、両方とも剪られて捨ててあった。それを拾って帰り、蕾は小瓶に、萎れた花の柄は名残の筆に。



風羅


花蕊と花托のある瀟洒な筆で描くと、ついふうらにも薔薇を一輪持たせたくなる。瞳もなんだか潤むようでおかしい。


字


笑顔満開の笑羅も一人。色は花びらから貰った。
字は複雑な花弁構成らしく書きたかったけれど難しい。


絵


薔薇と金星を描いて、次に薔薇とアルデバラン。この星もぼくにはフラメンコな星。



スタイン


最後に薔薇で思い出した永遠のフレーズ、
a rose is a rose is a rose is a rose is a rose is......(円環)
薔薇の瞳をしたガートルード・スタイン。


   *



薔薇


Twitterから転載。この一輪が剪られて捨ててあり、今回の絵を描かせてくれた。まさか、この薔薇を筆にして絵を描くことがあるなんて思いもしなかった。





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