羅漢合掌 3月18日 |
羅漢寺へ。 東の数人だけが、まだ頭に雪を残していた。 メジロの声が零れる。 境内には誰もいない。 久し振りにカメラに撮らせて貰っているうちに、 知らず合掌の手にレンズを向けている。 羅漢それぞれの合掌があり、それぞれの祈りがある。 地震・津波から一週間。 懸命な被災地の復旧と、依然消息不明の人々。 ここの境内にも、 「三界万霊平等利益飢渇飽満」と刻んだ塔がある。 羅漢の建立とは別だが、 大飢饉か何かの災害の慰霊塔と思われる。 羅漢たちもまた、何事かの犠牲者を鎮魂するものかもしれず、 数百年を風化に耐えた合掌は、 余寒余震にある被災地のために。 羅漢の合掌を巡り終えて、出口に向かったところで、 ツィー、とシロハラに呼び止められた。 ――もう帰るのか? ラフ・スケッチでもするつもりでいたのを忘れていた。 |
羅漢合掌アルバム 3月20日 |
ジョン・リー・フッカーの「チュペロ」が流れてきた。 iTunesのシャッフル。 洪水に見舞われたミシシッピー州の町、ギターの弾き語り。 ベッシー・スミスにも「バックウォーター・ブルース」があって、 家を無くして行き場の無い女の悲痛が歌われる。 (羅漢合掌アルバムを作成しました)by Picasaウェブ・アルバム * 追記:Picasaでの公開終了 (〜2012.10.16) 「羅漢合掌」PDF版 (2012.4.20) 「羅漢合掌」HTML版 (2012.10.16) 「羅漢合掌」EPUB版(2013.5.11) |
蝶と羅漢 3月31日 |
カワラヒワが2羽、1羽は仏の頭に。 羅漢の足元にたんぽぽ2輪。 綿を飛ばして少しは増えてくれないものか。 苔の緑は、いつもと違う羅漢が目に付いた。 「さあて、いるかしら」と似た人を探す、若い長身カップル。 「迷路だ、迷路ごっこしょう」と走り回るこども二人。 ルリシジミが、つの (?) のある羅漢の肩で交尾中。 |
クリスマス・スイング 12月25日 |
風と光の寒い午後。 さすがに鳥たちの姿はない。 ワビスケは咲き終わりの頃、 マユミの果実も名残にぶら下がっている。 上の羅漢は、 角隠しを被った花嫁とも言われ、 キリシタン石仏研究家にはゼウスとされる。 光が射し、翳り、 風が来て境内のカシの葉がざわざわと鳴り、 また光が射し。 羅漢の耳。 iPhoneからは、 ジャンゴ・ラインハルトの「クリスマス・スイング」。 |