北条石仏ノート


(2010年)


 春立ちぬ 2月4日





立春の羅漢寺。
寒く、翳った午前。
寂びた風情の石仏たち。
また一体、剥落が進んで顔が無くなった。
頭にドングリを乗せられたものが多い。
首にガムテープを巻かれたものも。

ふっと陽が差して、一瞬の華やぎ。


 羅漢七月尽 7月31日





夕暮れの羅漢寺で相棒とばったり。
相棒はレンゲショウマを観に、
こちらは今日までの写真展に。

あいにく写真は片づけられた後、
気落ちした心にぽっと火を点してくれたのは鬼灯、
緑に朱の混じりかけた実を撮ろうとして、
カメラに電池が入っていないのに気付く。

羅漢場傍らのベンチに座って、
酷暑に堪える羅漢たちを眺めていたら、
お互い見覚えのある人だなあ……と。
で、iPhoneを借りて三枚だけ羅漢を撮影。

スズメが一羽、時間を掛けて、
羅漢の頭を次々と飛び移っていった。

帰り道の住吉神社で「茅の輪くぐり」。
八の字、無限大の字を描いて夏越大祓。



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北条石仏