わが賢治祭
宮沢賢治の誕生日と忌日にTweetしたものを、ここにまとめてみました。
2013.8.27
インターネットに繋いだ記念日。1996年。最初にアクセスしたのが『宮沢賢治ワンダーランド』。
この世界の風景の素晴らしさ、風景の中の《こと》や《もの》を愛せ、と教わったのは与謝蕪村と宮沢賢治から。
宮沢賢治との最初の出会いは芳しくなかった。「雨ニモ負ケズ」は余計なお世話だと思い、「注文の多い料理店」は意地悪な作者だと思った。
賢治との親和は、天文中年となって、夜々星巡りに勤しみ、アルビレオ輝く白鳥ステーションから銀河鉄道に乗り込んで、無方の空に微塵となってから。
イーハトーヴのホロタイタネリと、大菩薩峠の茂太郎は、天然の吟遊童子。
2013.9.21
羅漢寺で遠来の友人親子と待ち合わせ。この日は宮沢賢治没後80年。デクノボーを意識して作ったふうらを連れて行った。
羅漢寺手前の小学校では「ならの実大運動会」。イーハトーヴの童話にでも出てきそうな名称で楽しい。らかんたちがいつもより小さく見えたのは、童心に帰っていたのだろうか。
2014.8.27
今日は宮沢賢治の誕生日。朔太郎はカメラ好きで、彼の撮った写真集は愛読書ですけれど、賢治はどうだったのでしょうね。
賢治はレコードや浮世絵蒐集で手がいっぱいだったのかもしれませんね。朔太郎と違って、撮られるのも苦手だったかも。
2014.9.21
月下美人がほぐれている。今日は賢治祭。イーハトーブの詩人はその名に照れて学名 Epiphyllum oxypetalum で呼ぶだろうか。
風に揺れて、花粉が零れている。芳香は空にも昇って、
ホッホーと天の畑の辺りより
2015.8.27
8月27日未明、宮沢賢治119歳の月天子。月齢12。空全体にダイナミックな雲の模様。
光の四つ葉。マン・レイ、宮沢賢治、レスター・ヤングに。
宮沢賢治の創作メモから「或るラブレターの全部的記録」をePub小冊子にしました。1999年イーハトーヴ軽便文庫の第一冊としてT-Time版を発行、図書室で最もダウンロードの多かった本です。なんとか生誕日に復刻できました。
2015.9.21
宮沢賢治没後60周年で書いた詩。
「満月祭」
光速で無方の宇宙に散る賢治さん。82年経った今頃は北斗の星々(βメラク、δメグレズ、εアリオト、ζミザール)に到達。青い林檎の樹(80アルコル)にも出会ったのだな。
2016.8.27
2016年8月27日。
宮沢賢治生誕120年。
六角文庫インターネット接続20周年。
いつもPC机の傍らにいる「でくのぼう風羅」(虔十や山男に近しいイメージ)。
賢治生誕100周年に、音座の製作した「土神」と「狐」。
ふたりでメモリアル・セッション。
「星めぐりの歌」〜「ポラーノの広場のうた」。
共作(?)の「樺の木に捧げるバラード」。
土神は神謡民謡風、狐はシャンソン風だけれど……
2016.9.21
「何といふいい精神だらう」(宮沢賢治のような)
「まじめな直立や
風景のなかの敬虔な人間を
わたくしはいままで見たことがない」
―宮沢賢治「風景監察官」
賢治祭の午後に蛹に。あとは蝶(ツマグロヒョウモン)になるばかり。
2017.8.27
木漏れ日。9:18。宮沢賢治121歳。
「太陽マジックのうたはもう青ぞらいっぱい、ひっきりなしにごうごうごうごう鳴っています。」
賢治の生誕日とあらば、やっぱり野に出ないと。というので夕方からぶらぶら。空へ駆け上がるサルトリイバラや、きらきら輝くキンミズヒキなどに「ホッホー!」と声を上げながら、ついつい遠出。オリザ(稲)の花も見たが、そこらをはしゃぎまわる雀たちを、賢治さん、何としたものだろうか。
2017.9.21
「世界ノAモ、世界ノA´モ均シク寂カナ秋ニナリマシタ。」──宮沢賢治書簡
オリザ(稲)の筆で、イーハトーヴの詩人に捧げて。
稲穂も葉も付いたままの60cmの長さ。実りの分重たく、コントロールが効かないけれど、それが草筆の妙味。とは言え……ホッホー!とはなかなかいかない。
2018.8.27
わが雲に関心し
風に関心あるは
たゞに観念の故のみにはあらず
そは新なる人への力
はてしなき力の源なればなり
──宮沢賢治
木漏れ日。10:21。
居眠りもよし。
考え込むもよし。
2018.9.21
今日も傘をさして散歩。今日は二人。町外れにあると聞いた蘇鉄を見に行きたかったが延期。曼珠沙華が咲き揃ってきた。没後85年の宮沢賢治はこの花に触れてないそうだ。小学校では雨の中、先生方が明日の「ならの実運動会」の準備。ざくろはまだ甘くも酸っぱくもない。
煩悶ですか
煩悶ならば
雨の降るとき
竹と楢との林の中がいいのです
─宮沢賢治「竹と楢」より
2019.8.27
夜明け。双子座の月(月齢26)。舟のように浮かんでいる。
コオロギが櫓の軋るように鳴き…
スズムシは波を滑らせてゆく…
4:39
美しい声の鳥が、二言三言寝ぼけて啼いた。
生誕123年。宮沢賢治の本を幾つか手にしたら中に挟まっていたもの。
1. 手巻きタバコ《DRUM》のシガレットペーパー。
2. 弘前のりんごパイの気になる栞。
3. 四つ葉のクローバー。大きな虹の詩のページに。
2019.9.21
今日は賢治祭。雨で「ならの実運動会」が中止になった小学校のグラウンドの隅っこに、旅立って目を回したせっかちないちょうの実が落ちていた。
2019.9.22
「草画帖」十七号を発行しました。
稲(オリザ)号です。宮沢賢治号でもあります。
草画帖17号
2020.8.27
8月27日の影絵。11:31
小さな木漏れ日の中に一匹のカエルがいた。
その向こうでは何やらイーハトーヴの生き物たちのような影が集まってわいわいやっていた。
2020.9.21
木漏れ日。9:27
(ひるの鳥は曠野に啼き
あざみは青い棘に遷る)
──宮沢賢治「滝沢野」
裏庭から見上げれば、こんな人面魚が空を泳いでいる。
賢治の辞世の歌
「方十里稗貫のみかも稲熟れてみ祭三日そらはれわたる」
言葉通りの晴れ渡った空を。
2021.8.27
宮沢賢治生誕125年、
六角文庫インターネット接続25年。
ihatovon noteを始めたばかりの頃、夢うつつの暁方に、バルコク、バララゲ、ブランド、ブランド、ブランド……こうやって踊るんだよ、と賢治が現れて……
インターネット25年、夢を抱いて、希望を焚いてやって来たけれど…
「いっしょうけんめいやってきたといっても
ねごとみたいな
にごりさけみたいなことだ」
──宮沢賢治「雲」
こんなフレーズも胸にしみる。
今朝の露草。
賢治ブルー。
レスター・ブルー。
2021.9.21
名月やその余のものは皆滲む
音座の展覧会で京都に旅立つフクロウと、見送るデクノボウふうら。共に奥能登よろみ村の銀河窯生まれ。
2022.8.27
風の又三郎、草の高三郎。
タカサブロウは墨斗草との名もある。何年か前に汁だけで描いたこともあるが、今夜は茎に墨をつけて草画。
宮沢賢治の誕生日なので、小筆に持ち替えて「原体剣舞連」と「高原」を書写。
2022.9.21
宮沢賢治の好きなオリザと、好きではなさそうな曼珠沙華。