2023年10月23日 |
桃水さんは信楽の粘土で、犀川イーハ陶房焼成。ぼろぼろの衣にあご髭、掌にはいただき物。この日は草舎のナンテンの実を。 ぶらぶらと秋のうららに誘われて、まずは野紺菊の一叢に寄る。 桃水さんと連れ立つなら河原がいい。そう思うけれど、この地には大きな川がない。耳に快い水音の河川がない。石を眺めて飽きない河原がない。それで野良へ案内して畦道で憩ってもらった。 春には雲雀が歌う空、今年の冬にはコウノトリが舞った空。桃水さんは小さな盆地の空をしばし仰がれる。 夕日に照ってキンエノコロは輝き、桃水さんもほかほか。 まもなく日は山の端に沈んだ。人から貰った阿弥陀画像に、 狭けれど宿を貸すぞや阿弥陀殿後生頼むと思し召すなよ と歌に詠んだこの散聖は、沈む太陽をどう眺めておられたのだろう。 初めて桃水さんと同行した記念に、面山瑞方『乞食桃水逸話選』を注文した。 |