初音を聴いた、初蝶を見た 3月9日 |
風がなく散歩日和、午前中に出た。 コースは南、いつ以来だろう。 山蔭の池にオシドリを見かけた、という去年の情報に乗って、 のらのらの獏的夫婦は行動する。 ![]() 町を抜けて、サザンカの大木の跡に寄った。 白い花をいっぱいに着ける名木であった。 村の入口に 咲くサザンカはもう無い 大きな木の ましろの 百千の花は空中に帰った 切株では 体は休めても 魂はやすらがないだろう ―山茶花 2013 ふうらが一人切り株の上に立って、往年の花を夢想する。幻視する。 (伐られた直後の写真はこちら)(花満開の写真はこちら) こういう村の出入口に立つ木は、みんなが歩いていた時代には とても大切にされ、愛着されていたのだと思う。 犀川べりの大桑村の大コブシの木が思い出されて懐かしい。 ![]() この日は雲が獏的であったり、豚的、羊的、鰐的であったりした。 竜の落とし子に似た雲もあったし、交尾している雲(?)もあった。 また上部が真っ白で、下部が濃い灰色、変に立体的で、 フォトショップでシャドウ効果か、3D加工を施したような、 珍しい一群も浮かんでいた。 足もとには次々に咲き出した草花たち。 オオイヌノフグリに続いてホトケノザも盛りを迎えて、青と赤、 そこにハコベ属の白も混じって、微小なものたちの時代が続く。 山へ向かうから幾つかの坂はこたえたけれど、 八重紅梅で休み、コガモのいる小池で休みして、 最後に竹林の中の小径を潜り抜けると大池の上に出た。 居たのはマガモ四羽。 当てにしていたわけではないので、別にがっかりもしない。 カワラヒワの声がして、電線に二羽、 ジョウビタキの声があたりをうろうろして、 下の池からはコガモのホイッスルが聞こえてくる。 そうしているうちに、ウグイスが初音を鳴いた。一度だけ。 堤の上ではキチョウが舞った。今年の初蝶である。 最初に道を間違えて、えらく急な坂道を無駄に登ったぶん、 呼吸(気管支)に難のあるものと、 歩行(踵の骨)に難のあるものは、それなりに疲れたけれど、 でもいい散歩だった。 |
四つ葉のふうら杖 6月30日 |
![]() ふうらの杖の基本は、金沢・犀川の草花。 川べりに住んでいたから、散策で親しんだものばかり。 今頃だとヘラオオバコ、ペンペングサ、クローバー。 ねじ花なんかも手に持たせれば、風趣があった。 それらの花がここでは身近に無い。 あるのはクローバーで、これは四つ葉スポットを見つけた。 去年から鉢で育てていて、一年目は失敗。 二年目の今年は採集した株が良かったのか、次々に四つ葉を着ける。 それどころか五つ葉も何枚か着けてくる。 四つ葉はスポットで何十枚も採集、押し葉しているので、 楽しみは葉ではなく、花の後の杖である。 クローバー杖はふうらの定番、一番人気ではあったけれども、 まだ一人として四つ葉の杖を手にしたものはいなかった。 毎日白い花を楽しみ、枯れるのを心待ちにしているのに、 誰か葉だけでなく花も食べるものがいた。 そうして幾つかの落胆を経て、ついに待望の杖を収穫した。 四つ葉杖第一号は、花はおかげで小ぶりになった。 ラッキーなふうらは、一番近くにいて目についたひと。 幸運がやって来るといいね。 花は毎年季節に巡ってくるけれど、幸運はね。 「I want to be happy」でも聴かせてあげよう。 |