北条石仏ノート


11(2014年)


 吟遊 2014 1月1日


新年、外に出てまず目に入ったのが、オリオンの扉。
それからつぶつぶと葡萄の房のように見えるスバル。
西岸寺でまず獏の鐘を撞かせてもらって、
向かいの大信寺、あでやかな鐘楼の酒見寺と鐘のはしご。
住吉神社は初詣客の長い列が出来ていたので、
足を延ばして羅漢寺へ。こちらは静か。
ローソクだけの灯りで三脚を構えて石仏を撮っている方がいた。





紙コップに何か願いを、と渡されて「吟遊」と書いた。
昔からの夢・憧れの言葉だけれど、
もうそこまでの体調は望むべくもないから、
せめて電子本がWebを通して巡ってくれればと思う。





住吉神社に戻ると人の波は引いていて、すんなりお参り。
おみくじは吉。
  うぐいすの谷戸を出入る声のして軒端の梅も咲き初めにけり
歌だけ覚えて笹に結ぶ。
お神酒、甘酒に預かって、帰る頃には星は姿を消していた。


 散歩をしてみた 2月22日


そろそろ散歩したくてうずうずしていた。
寒く風の強い日が続いたが、今日はどうか。
午後一旦外出準備までして、日が翳って断念。
夕刻に日射しが戻って思い切って出た。
カメラも双眼鏡も持たない。iPhoneのみ。
ふらふらの時に誤ってトイレに落とした4sである。
ぼくもかれも臥せって徹底安静。
先に起動したのはこちら。
あちらはじっくり乾かしてようやく復活した。
その病み上がりコンビの初めての散歩である。

あては、幾つかあるコースの中で最短の羅漢寺。
水仙のラッパに吹かれて、
オオイヌノフグリに瞬かれて、
なんだか眼鏡の焦点が合わないので訥々と歩く。
途中、小学校の大榎に寄った。
生きているとも死んでいるとも立ち姿では判らない。





羅漢寺では、素心蝋梅と白侘助。
夕日が射して華やぎ、曇ればまた翳るらかんたち。
iPhoneは幾枚かの写真を失敗し、
ぼくもまた気温の下がった帰りはほうほうの体。
でも、よかったな。
明日からは散歩日和になりそうだし。



10 (2013)




北条石仏