4月14日 |
雨の降る前に羅漢寺へ。空は全面雲に覆われて、光の一点だに射さない。 けれどこういう日には、翳りある表情で、曰く言い難く羅漢は佇む。 境内の桜はもう散ってしまったが、白椿、肥後椿が咲き残っている。肥後椿は大輪で羅漢の掌よりも大きい。 眉間にウメゴケが生えて、眉と鼻とで十字架を描いたように見える。キリシタン異形仏との説もあるから、こういう案配もおもしろい。 このひとにも妙な苔が頭部に生じて、なんとも言えない髪型、なんとも言えない表情。 苔や地衣類はかれらに独特の意匠を与えて、その盛衰とともにそれぞれの石仏の風合も変遷する。けれどまた、これはオーバー・ペイントだろうというものも増えてきた。 このひとは唐風の印象。細い口髭と、色は渋いが大胆な模様をもっている。 高室石のような軟質の石仏は他にあるのだろうか。風化というには生々しい変貌と剥落。 羅漢の頭に一匹のテントウムシ。黒地に赤い星二つ。 曇っているせいか蝶の姿も見なかった。 境内隅の木でカラスがしきりに鳴いているのが気になって、やや遠慮がちに回った。繁殖期でたぶん威嚇もしていたのだろう、頭上を飛び抜ける大柄の一羽がいた。 境内の外れに咲いたボタン。 アシビはもう花の終り、サンショウの黄色い小花、ツツジは咲き始め。 |