詩集 北国のタンゴ
ごぉーん
―ブルー・レスター
どこかで
青い桜が咲いている
四月は
空だって
はらはらと散るだろう
日輪は
暈をもち
ひとは
翳りを深くする
そぞろに逢えば
みんなやさしく
手品も
魔法も
なにげなく
鳴ってみようか
ごぉーん
春は釣鐘の人体だから
青い桜も
散ればいい……
空もふるえて
舞えばいい……
だれも静かに鐘を鳴らして
ごぉ――ん
ごぉ――ぉん
遠い呼吸で響き合い
憂い柔らに
音叉の春に佇てばいい
(c) kotaro izui 2001
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