詩集 北国のタンゴ
大雪日誌・四
…小禽レストラン開店
大雪で姿を消したが
餌を出すと
雀から集まってきた
柿と
パン屑と
殻付き粟玉
半分に切った柿は
最初の一口から
きれいに
時計回りにつついていく
ところで雀(きみ)たち
正月の注連飾りのはしごは
うちが最後だったようだが
お年玉は余所で貰って
非常食に回したのかな
○
台所の窓枠にも
粟を撒いておいたらしい
一羽来て
二羽来て
彼らの情報網(ネット)は素晴らしい
あっという間に
十数羽が一列に並んだ
粟は殻付きだから
一回一回頭を上げて
嘴で転がしては弾き飛ばす
曇りガラスに
ぴょこぴょこ
その影だけが映って
こちらでは
シナモンやクローブや
ナツメグなどの小瓶が
黙って並んでいる
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