詩集 北国のタンゴ


 大雪日誌・二



雪を掻こうとしたら
長靴が無かった
長靴を買いに行こうとしたら
雪が深かった

そんな莫迦なこともあったなと
玄関に下りたが
あのまま長靴を買っていなかった

 ○

スコップはどこだと訊いたら
朽ちた門のつっかえで
雪に埋もれていると妻が言う
預かりものの
スノーダンプがあったろう
あれは柘植の木の下雪の下
では何で小径を作ったのだ
まさかスプーンではあるまいな

ほほほ
莫迦おっしゃい
園芸用のシャベルで
ちゃんとやりましたよ

 ○

蓄えはあるか
たっぷりあります
柿と林檎と粟と食パン
この冬ぐらいは易々越せます
そうか小鳥どもはこれで大丈夫と

こっちはどうだ
ほほほ
それがおまえさん
雪が降ろうと降ろまいと
今月持つかどうか

(c) kotaro izui 2001

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