詩集 北国のタンゴ
大雪日誌・二
雪を掻こうとしたら
長靴が無かった
長靴を買いに行こうとしたら
雪が深かった
そんな莫迦なこともあったなと
玄関に下りたが
あのまま長靴を買っていなかった
○
スコップはどこだと訊いたら
朽ちた門のつっかえで
雪に埋もれていると妻が言う
預かりものの
スノーダンプがあったろう
あれは柘植の木の下雪の下
では何で小径を作ったのだ
まさかスプーンではあるまいな
ほほほ
莫迦おっしゃい
園芸用のシャベルで
ちゃんとやりましたよ
○
蓄えはあるか
たっぷりあります
柿と林檎と粟と食パン
この冬ぐらいは易々越せます
そうか小鳥どもはこれで大丈夫と
こっちはどうだ
ほほほ
それがおまえさん
雪が降ろうと降ろまいと
今月持つかどうか
北国のタンゴ 詩TOP 貘祭書屋