スピリチュアル・ユニティ
──宮沢賢治とアルバート・アイラー
賢治は濁っている。
文学と
科学と
宗教と。
博愛心と
嫌人症と。
ぐるぐる渦巻いて
星雲状の人間。
その散光部分と
その暗黒部分と。
濁りは
澄明に向かい
澄明の寸前で
逆流し
新たに濁り
新たに澄明を願い、
濁りは
巨大なエネルギーを生む。
われわれの時代にもなお
賢治の濁り
濃いガスは漂い
そこから
無数の星々が生まれ継ぐ。
○
どこか
ハドソン川と
北上川の合流する、
天上の
銀河の
河原で、
アルバート・アイラーが
賢治の「精神歌」を吹いている。
詩・背景写真/泉井小太郎 絵/音座マリカ