雪童子片つ端から星逐ふて
北国に住んでいると、二月四日は立春というより、雪婆や雪童子、雪狼の駆けめぐる水仙月の四日のイメージの方がぴったりきます。今年も大きな寒気団が近づき、大荒れの予報です。
右の写真は二十年前、1977年の水仙月の四日です。雪国に来て初めて出会う豪雪でした。この童話の本当の素晴らしさを知るきっかけにもなりました。作中のカシオピイアとアンドロメダの歌は、その後、星を観るようになってさらに愛唱しました。
三人の雪童子が水仙月の四日の仕事を終えて星を眺めるシーンがあります。<桔梗いろの天球>には琴や白鳥、さそりの星々などが昇ってきています。
「あいつはカシオペーアの三つ星だらう」というのは、一度山際低く落ち、また昇りかけたころの光なのでしょうか。雪童子たちの見た星空を想い浮かべるのも、もう一つの楽しみになります。
上掲の句は、紺青の空に無数の星が冴え、きらきら瞬いている端から、厚い雲の塊が次々に星を呑み込んで来る光景に出会って生まれたものです。雪狼の息づかいと、雪童子の革むちの音が聴こえたような気がしたのです。