桜と羅漢





 4月5日


帰郷して二十年、桜と羅漢のこんな華やかな風景は初めて見た。
いつも寂しいぐらいの咲き様で、それはそれで情趣はあったが。
老木の渾身の咲き様に羅漢たちも驚いたのではないか。





 酒見北条で見せたいものは
 五百羅漢に散る桜
今は咲き静もっている花が、古謡どおりに散りしきる日がくるだろう。





羅漢はみな春の佇まい。花曇りの午後に思い思いに黙して。





はるかな昔の桜吹雪がひそかに胸に蘇る羅漢もいるかもしれない。





閉門近くになって斜めの日が差した。
明日は住吉神社の節句祭。化粧屋台宮入りの太鼓や囃子がここまで聞こえてくるだろう。
 ヨォーイト、サーノーネ
 ソレッ、ヤンチキドッコイショ
羅漢たちの耳にももうおなじみに違いない。



復興祈願




北条石仏