5月16日 |
奥の細道出立の日(旧暦3月27日)。 生憎の雨だったが、羅漢寺から連絡もあったので出かけた。 同行者は白山麓の登り窯で焼成してもらった芭蕉像。1989年5月16日に奥の細道出立300年を記念して作像したもの。 〈みちのく〉とはいかないが、裏道を辿るのもまた旅である。なじみの棕櫚小路から薔薇小路へ。雨の中、濃艶に咲いた薔薇四輪。翁はここで雨宿りを所望。元禄にはこのような薔薇は無かったであろう。 道々もうドクダミの白い十字が咲きだした。いつもは泥だらけのスイレンも雨に洗われて美しい。 羅漢寺の石仏たちも日頃の塵や埃を雨に流してもらっていた。 若葉から青葉に移る時は、顔を隠して見せない羅漢もいる。 いかにもオーソドックスな比丘風の左端、どこか異国人風キリシタン風の右端、ベニマシコのような年中薄桃色の中央…と三者三様の羅漢。 雨が降っている時は、雨に紛れて、羅漢とて泣いてもいいのであろう。 この宗匠風羅漢にもあいさつ。どことなく芭蕉の面影…と家人に教えられてからは、詩歌の先達としても慕っている。境内最後列の片隅に奥ゆかしくいらっしゃる。 |