合掌羅漢





 3月11日


3月11日。羅漢寺に参って合掌羅漢を巡るのが恒例になった。
風が強い午後だったが、陽射しはある。
アシビの花が垂れて、ツバキが各種咲き誇っている。
羅漢場に向かうと、母子連れの先客があった。





今日最初に会った合掌羅漢。(帰ってからPCに取り込んでみたところ、シャッターを押した時刻が14:46:11。次の落椿の羅漢が14:46:36だから、九年前にはその間に激震があったことになる。そのときぼくは何をしていたか。TVは普段見ないし、Twitterも未体験、何も知らないまま居間の炬燵でノートパソコンを開いていた。『春とピアノ』の詩篇に集中していたのだった。)





境内にはいろんな椿が咲き競っている。羅漢の足下にあるのは蕊あざやかな肥後椿。薮椿も乙女椿も花盛り。羅漢場に立つ白椿はいつも遅れて咲く。メジロやヒヨドリにとっては一番うれしい季節。シジュウカラも囀っている。





羅漢群の奥に建つ「三界万霊塔」。慶長15 (1610) 年、「三界万霊平等利益飢渇飽満」の文字がある。戦火、天災に見舞われる人々の永遠の祈り、果て無き願いの塔であろう。410年後の今日もまた人類は厄介なウイルスに脅かされている。
羅漢寺の本尊は薬師如来。厄災の拡がらぬことを祈った。





最初の羅漢は西側最前列左端、このひとは東側最後列右端、ちょうど対角になる。いつ見ても、羅漢それぞれの掌の合わせ方…。言葉にならぬ思いもそれぞれ、未来の見つめようもそれぞれだろうか。



新年の羅漢  春闌けて




北条石仏