ピアニスト―野葡萄筆
褐いろの板塀からピアノが鳴つてゐる
やれたおしめが旗のやうにさがつてゐる
そこでピアノはいよいよ美れいに鳴る
門の前には
八百屋が零して行つたばかりの
青菜や葱の屑が
幾日もそのままにされてゐる
―室生犀星「道路」その二【星より来たれる者】
草人艸墨展入口
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ピアノを弾くひと