泉井小太郎 春と石仏
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椿が咲くと
メジロがやって来る。
白椿は羅漢場に立っていて、
花は次々に石仏の頭上に咲く。
零れるのは
メジロの声だけではない、
朽ちゆく花だけではない。
天平の麗人
と、ぼくが呼ぶひとは
毎春、髪を白く染めることになる。