詩集 夜明けの茶柱

  泉井小太郎


 二十世紀最後の詩作を、
 新世紀初頭に電子詩集にしました。
 オリジナルはフロッピー文庫です。
  * 漂流船一つ
  * 硬派の甲羅が
  * 獏の足音
  * お元気ですか
  * 青葉木菟やら青虫やら
  * 夜明けの茶柱
 6章35篇の本編に「お伽草紙1999」「バラード」
 「月光帖」を巻末に収録。




オンデマンド印刷による紙本です。

山之口貘に宛てて、詩「はじめまして」を書いてから二十年。
その記念の日付12月30日に紙本復刻を果たしました。



10inch版
160ページ
2020年12月30日発行
2000円 (+税)


ご希望の方はBCCKS 六角書林
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【収録詩篇】


 春だよ


お元気ですか?
もう雪も
憂鬱も融けましたか
こちらは
無精を解いて
そろそろ春塵と思っているのです

ばくが
何頭か生まれました
だから
こころおきなく眠りましょう
わたしは
うんざりせずに生きましょう

いつか
晴れたら
目白にでもなって
一日、
椿の蜜を吸いにいらっしゃい



 冬の星


まぶたを閉じて
冬の大三角
星の大六角
思い出してごらん

赤い星は
凍えたこころに暖かい
ベテルギウス
アルデバラン
名を呼ぶだけでも
くちびるがうれしがる

つらいと思ったら
つららが垂れてくる
さあ今度は
黄色の星
カペラ
プロキオン
ポルックス

夜明けに目覚めて
泣くのは誰だろう
空がない
こころがないと
すっぽり雪に
埋もれるのは誰だろう

あらしの上で
星は瞬いている
リゲル
シリウス
青い星も忘れないで
大きな大きな空を
胸に描いてごらん






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