詩集 雨羅

  泉井小太郎


 1976-78年の作品が中心です。
 三章から構成されています。
  雨羅
  風羅
  雑歌
 『雨羅』は1979年謄写版印刷で55部発行。
 たった5篇の薄くて開きにくい詩集でした。
 その頃の作品を大幅増補、47年振りの復刻です。
 
 風に破れ易きうすもの、雨に破れ易きうすものが、
 北国の雨雪にざんざんと降られた雨羅放浪の詩。




オンデマンド印刷による紙本です。



10inch版
160ページ
2026年3月1日発行
2000円


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【収録詩篇】


 センチメンタル・ジャーニー


六月
〈目の裏〉で蒸れる緑に発って
北からやってきた

日曜日
風の界隈
今出川通を歩く
今出川通はいまも大きく
南へ傾いている
吹き重なる風の齢をけて
私の'69へ
妻を連れて
風に解かたれ
私の京へ

いまはひとまず
センチメンタルに
私記を踏む




 いろは双紙1


雨を手で囲む
そこに九月十月の沼があり
いっそう古びる木の年齢がある

夜になると
一匹の紙魚が浮かび出て
この六年のあなたと私の
あること・ないこと
すべて月にあぶりだしてしまうのだ

水垢のついた
放浪譚ようのもの・恋愛譚ようのもの
  伏せ字が多いね
  ずいぶん秘文字があるね

天候が変わったら
まっさきに風を一本貰ってこよう
古いのでよかったら
こっそり郷里へ帰って
日溜りのふたつかみっつも借りてくる




 野の、市


  1
 
野の市へ行く
草の切符を買って

バスの中では
光のボロ
古い
雨と
色情を見る

(耳が濡れている)


  2

十月
南無野は
またしても
ウン・ポコ・ロコ
ウン・ポコ・ロコ

唸り出す
  
(野の耳)
(耳の中の。雨)
  

──(以下略)──






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