詩集 弦想

  泉井小太郎


 1979年の作品が中心です。
 三つのパートから構成されています。
  詩集:弦想
  詩篇:Strange Bluse
  小詩集:夢側通行
 『弦想』は1980年刊『Clact-oveeseds-tene』の
 増補改題で、44年ぶりの復刻となります。
 残りは今回始めての発表です。

 表紙は音座マリカの油絵「Meditation」
 裏表紙は陶像の「Bird」。
 ジャズに触発された作品の多い詩集です。  



オンデマンド印刷による紙本です。



10inch版
224ページ
2024年3月1日発行
2400円


ご希望の方はBCCKS 六角書林
でお申し込み下さい。

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【収録詩篇】


 スワニー河


スワニーの河音を
三分〇一秒
ジャンゴのギターで聴いた
雲がひかって
水は拳をあげて
きんの
声のもつれが走っていった
傍で眠る
妻の夜着から
しろい蒸気がこぼれ
この夜
三分〇一秒の、水上生活
そらの彼方に
ジプシーの
雨と、洗濯物がある



それから
四月の
翳を追って、吃水のグラフをつけ
指の、三本で
さらなる川線をひいていく
雲が厚く
水は重たく
街が
ぎんの、中毒にあっても
ね、
スイング
しなけりゃ、意味ないね

 
 (・・・以下略・・・)




 弦想


    ── Meditation for Charles Mingus


鳥から始まる
六斗林も、今日
クンビアのムードで

ひわが啼く
むくが啼く
くろい羽根着て
女も踊る、卵を渡る
北から
南へ
弦が一本
涙腺が一本
めい想し
めい想して針金をペンチで切る


(以上序章)
 (略)
(以下終章)


ココモ、クンビア
火山ト
地震ノクニ
カラダガフルエテ、アツイ
眠ッテイルモノナド
アリヨウガナイ
ミンナ
喫水線上デ
フルブル、ワナナク
巨大ナ蛾
原因不明二
肥満シタ
ジャングル船

死ンダ者ノ
灰ナドカブラナイ
「私ダッテ、スデニ
 キイロインダ」、

ボツン、
ボツンと
火を、噴き
弦が一本
えんえんとめぐる
涙腺が一本、性腺が一本
めい想し
めい想して針金をペンチで切る




 Strange Blues




ような
   音
    を、聴く
 ザァー、
  ザァー、と鳴る
   虫
   の
   ような
     声
      を、聴く
          、
          耳
           から
         くるって
       いく
         の、だろうか
               、
           砂ガ
            コボレル
              し
              ゅ
              う
               、
                し
                ゅ
                う
                、
               と
           あかるい
            息が、して
                、蛇
               でも
             這って
               いる
              の
             だろうか
            、
          砂ガ
            コボレル
           火薬ノ
         匂イガ、スル

       
(以下略)






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