途方に暮れて
広大な宇宙で、
索漠たる砂漠で、
途方に暮れる。
夜の六畳間の思案もまた、
深いジャングルに似て、
容易に、
空への出口が見つからない。
過去は放てば、
未練気に、
未来は手繰れば、
不安気に。
おりからここに雨が降る。
文字を連ねて、
鉄路を敷いて、
耳を澄まして列車を待つ。
夏の未明の、
昴の停車場。
いったいぼくは、
どこへ行きたいのか?
砂漠に桃を転がして、
水気の中で、
しんみり泣きたいか?
キャベツの芯で、
サボテンの内で、
夜と自分が明けてゆくのを、
死ぬほど待つか。
カリカリカリと、
頭脳(コンピュータ)は軋む。
小さな、
二十世紀末の闇。
ひとり、
虫の音を聴きながら、
この惑星の裏へ飛ぶ。
雨は上がった。
ラス・カンパナスにも、
マチュ・ピチュにも星が待機する。
一本の煙草で、
一個の銀河の、
数千億の星を夢想する。
微塵が気持ちいい。
いずれ、
ぼくもたあいなく眠る。
そして目覚めては、
また大きく、
深く広く、
途方に暮れるだろう。