詩集 幼虫時代
大月夜
皎々と
毒気はある
満月の
狼男
蜘蛛男
牙を剥くより
糸を張る方がいい?
荒んだ森にも
憐憫はある
茸の無気味も
皎々として
ものみな解毒に浮かれたよう
皎々と
狂気はあり
満月の
蛾男
烏賊男
鱗粉皎々
月光に溺れて墨を吐く
荒んだ星にも
慈悲はある
人の無意識も
皎々として
ものみな正気に怯えたよう
(c) kotaro izui 1998