詩集 幼虫時代

 くるくるうらおもて



ここにいることの、
あたりまえさと、
不思議さの、
くるくる、
うらおもて。



ぼくが、
(ぼくでいることの)
あなたでないことの、
あたりまえさと、
不思議さの、
くるくる、
うらおもて。



そうして若葉になって、
青葉になって、
黄葉になって、
落葉になって。



カシオペアの東で点滅する、
停止流星の群。



墜ちるものと、
昇りゆくもの。
ともに燃え尽きながら。



カシオペアの隣で明滅する、
よだかの星。



泣いても、
笑っても、
いまがいまであることの、
あたりまえさと、
不思議さの、
くるくる、
うらおもて。



(c) kotaro izui 1996