孤島
孤島はいつも帰ってくる。
雨降る、真夜中、
腹を空かせて、
愚痴をこぼして。
どこをどう、
ほっつき回っていたのか?
(放浪とか、
漂流とか、
回遊とかいう言葉が、
カレの好みなんだが)
海垢によごれ、
大気によごれ、
鱶や、
潮にこづかれて、
またひとまわり小さくなったか。
「まあ、乗れ。」
と孤島は言う。
淋しい草地と、
わずかな潅木。
えくぼのような水たまりが一つある。
さあ、
どうしょうか?
孤島に乗れば、
ぼくはこれから、
開くのか、閉ざすのか?
「空ははろばろ、
海はひろびろ、
さあ、
一緒に、
遠く、
深く、
巡ろうではないか。」
孤島と何度出かけたことか。
星降る、真夜中、
腹を空かせて、
鼻歌混じりで。