雪虫と羅漢



羅漢1







羅漢2







羅漢3



クリスマスに
羅漢寺に行った
羅漢場に
どう見ても異人が居て
時には
ころころ転がる
どんぐりのような
南蛮語が弾んでいる
そんな気がするからだ

もっとはっきり言う人もいる
ここには
牧師がいる
宣教師もいる
隠し十字の合掌がある
もう謎は解かれたのだ

そうだろうか
比丘姿も
烏帽子姿も
誰だか
何だか
説明がついたのだろうか
角のように見える石仏も

それはともかく
今日は碧眼と
ぼくが思う人に会いに来た
スマートフォンで
クリスマス・ソングを流して
石仏たちの間を歩く
誰かキリシタン関係の人が
密かに参っているかと思ったが
そんな人影は無かった

異形石仏
異形羅漢
謎はどんより曇って
ふと気づけば
一匹の綿のような虫が飛ぶ
見とれていると
三匹
四匹…と増え
羅漢場を舞った

どこから湧いたか
だれから来たか知らないが
魂はこのように
しずかに
あえかに
ゆうぐれを飛ぶのだろうか

雪虫の一匹が
肩に舞い下り
じっとしている
石の仏と
綿の虫と
人のぼく
宇宙も生物も不可思議だ
現実も幻想も不可思量だ
やがて雪虫は
柔らかい羽を起てて
ぼくの肩から飛び立った

碧い瞳
白い翼
異人の数ほどの雪虫が舞った




羅漢8







羅漢5







羅漢10



この詩と写真を小冊子(紙本)にしました。
「不思議の羅漢」


貘祭書屋詩画