立春のロゼット
立春の旅は
隣の空き地
鶫も
尉鶲もいない
病床の荒涼に似て
空き地には
気の早いぺんぺん草と
狂い咲きの
蒲公英一本
すでに綿毛である
惹かれたのは
花ではない
幾つか点在するロゼット
節分明けの
鬼田平子や
鬼野芥子が
艱難の季節の
曼陀羅模様を見せている
ロゼットを巡って
草の知恵に感銘し
無策無能の身が凍る
晩年は
そこらの春の
そこらも遠く
遠出とは
蝸牛山まで這うことか
(c) kotaro izui 2014
貘祭書屋
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詩画