詩集 夢と天然


 夢の山



夢に
割悪岳という山が聳え
登攀を諦めた者たちが
山小屋で火を囲んでいた
それ以上のことはわからない

あるいは
悪割岳だったか
悪我岳だったか

さして高い山でもなさそうだが
頂上を極めた者はなく
かといって
征服欲に燃えて来る者もいない

ある程度登っては
しぜんに諦めて
山小屋でしばし憩っていく
そういうことのようだった

(c) kotaro izui 2002

夢と天然 詩TOP 貘祭書屋