詩集 夢と天然
小鳥の塒
霰がふる
空は暗く
ぐんと冷え込み
寒雷一発
草木に声があれば
こんな日は
沈黙だろうか
叫喚だろうか
・・・・・
小庭の茂みに
小鳥の塒
いや、塒のあとか
糞がある
幾夜かの名残り
静かな家の
鳥と人と
静かな暮らし
糞とはいじらしいものであったよ
・・・・・
霰は止み
日が照り
一人で居れば
喋ることもなく
午後の空腹を慈しみ
階段を下りて
台所に立つ
鍋の中の
糸蒟蒻とがんもどき
・・・・・
小鳥の塒に
あるのは糞だけ
言葉のように
歴史のように
空はまた翳って
風を狂わせ
これからいっきに
氷点下に向かう
そう夕刊の予報にある
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