詩集 北国のタンゴ


 帽子一つで咲いている



どう?
くるりとターンして
女は微笑んだ
帽子一つで咲いている

あなたなら似合う
そういうことで
貰ったのだそうだ
そういう帽子が
昔から女にやって来る

なるほど
難解なデザイン
それを苦もなくこなして
どうかしら?

うん、
まあ…
幾つになっても
魔法のおでこ
涼しい瞳

そういう着こなしが
生活全般に
人生全般に
あったら凄いことだが

そこまで
女は欲張らず
帽子一つで咲いている
どう?

(c) kotaro izui 2001

北国のタンゴ 詩TOP 貘祭書屋