詩集 夢と天然
○―花鳥吟遊
カワラヒワ
― 春嫋々
コロコロと
きいろい声が転がれば
春はたけなわ
どこか梢で
電線で
ビィーンと甘えを鳴らし
また
キリコロロと
頭上を渡っていく
顔は
ちょっと恐いが
可憐で
弱い鳥
なに
自然に弱いものなど
生き残っているものか
鰯も蒟蒻も
りっぱにたくましく
ならばわたしも
キリコロコロと
鶸色の夕暮を渡っていけばいい
(c) kotaro izui 2002
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