<目の裏>分町・三人部落・秋
かつて
<目の裏>分町と、と呼ばれた
水の薄い
一区画、その
三人部落に、私はいま立っている
★
ここに
廃バスを、二段
重ねたような家があって
・・・(そう
あったのだ、確かに)
乗客が、三人
のらり、と
旅していたような、暮していたような
マサルと
マツコと
ホクトと
(そんな名前はともかく)
蠕動し
p、b、dする
川の字の
乱筆ぶりに惹かれ・・・
・・・・・・・・・・・
いつ、発ったのか
あたりに
排気ガスのぬくもりもまだあって
耳が、ガラガラ
不意に
電気ベースの子守唄も湧くような
気配の、一瓶
酒瓶一本ぶら下げてやって来たのだ
呑気が
呆気の
しばらく
、であった
★
九月・十月
この地で云う、蛇腹の季節
例年、風炎症の
誰かと
一本の吊り橋を争い・・・
私はまだ、こうして残っている