スワニー河
スワニーの河音を
三分〇一秒
ジャンゴのギターで聴いた
雲がひかって
水は拳をあげて
きんの
声のもつれが走っていった
傍で眠る
妻の夜着から
しろい蒸気がこぼれ
この夜
三分〇一秒の、水上生活
そらの彼方に
ジプシーの
雨と、洗濯物がある
それから
四月の
翳を追って、吃水のグラフをつけ
指の、三本で
さらなる川線をひいていく
雲が厚く
水は重たく
街が
ぎんの、中毒にあっても
ね、
スイング
しなけりゃ、意味ないね
旅の
はじめに、立ってみる
川の名もない
水の無頼があった
耳と
性器と、どちらが
早かったろう
草のホテルの、一夜
水の言葉と
虫の愛、を
たっぷりと、聴いたよね
あれで
背中をすっかり、失くしたね
草ボウボウの
キャラバン、だ
ミクロから
旅の
渦巻くボレロへ、やってきた
雲をくぐって
北国の
白い橋桁に、月を仰いで
古びた
マットレス一枚
あくまでも、船・らしきもの
傘も
弁当も持たず、この郷で
十月の、暗礁
四月の、暗礁
舵が
欲しいね
中古の、無線機も
・・・・・・・
スワニーの
河船に向けて
船籍不明の、SOS、
(花火のような旋律だぞ!)
・・・・・・・
三分〇一秒
繰り返し、指の三本
この夜、水上にあって
言わずもがなの
マットレス一枚、下は地獄
ニュースが入って
空には
ジプシーの雨と洗濯物、だとさ