詩集 弦想

 枯葉



垂乳根の、花
が、散った、
苦い樹液が、
のどを灼いて
声も出なかっ
た、山の端へ
、ひとり、行
ってしまった
・・・
   と、吸殻を読んで
   、じ、じ、と目蓋
   一枚焦がしてから
   は
ここに、
水の愚、
ひとり、
激しく、
散って、
しぶきを
あげて、
火の愚の
ひとり、
   山の、こちらで
   灰と反古、暦も
   枯れて、降りし
   きる、まるで、
   骰の目のよう、
   雪と、見紛う、
   デタラ目、のよ
   う・・・



(c) kotaro izui 1979