詩集 オリオンの扉


 与呂見村 *一九九一年・春



宇宙大爆発ビ ッ グ バ ン

かくて万芽の季節 かな

・・・・・

雪に埋もれて
一寒山
一寒村
一寒寺

田も眠り
畑も眠り
甲羅の下で
夢を抱く

・・・・・

(十八人―またそれぞれの自然薯を掘るごとく)

・・・・・

エリダヌス川の畔り
貂が走る
三月の
心は
遠く南天のアケルナルまで

・・・・・

悠 ゆう 
麦 むぎ 
遼 りょう
弾 だん 
たんぽぽ
鹿 ろく 
青 あお 
風 ふう 
そして、海と
まだ、無名子

・・・・・

また彼らも
我らも
貂であり
雪であり
火であり
炭素であり

万芽である

また互いに
むぎであり
鹿しかであり
かぜであり
うみであり
生まれてくる無名子である

・・・・・

蕗の薹―ここも原始未来中

(c) kotaro izui 1991

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