詩集 オリオンの扉
風座
雨上りに、
ロゼットを広げて、
茎を立てる。
タンポポだったか、
アザミだったかは知らない。
×
風が吹けば、
いずれ、
綿が飛ぶだろう。
旱が続けば、
いずれ、
立ち枯れるだろう。
×
さわさわと、
野末は鳴る。
水も、
みみずも地面の下。
×
下手な呼吸使いの誰かがいる。
×
丹田に、
日が差し、
日が陰る。
×
音楽のような、
舞踏のような、
妙な呼吸がやって来る。
是非は知らず、
しばらく、
リズムに乗ってみる。
×
夕べの海の芥となり、
夕べの土のバクテリアとなる。
○
蔦の葉裏に、
すっぽり入る。
風が死ぬ−ということもある。
×
蟻が見えたままに、
蟻としばらくゆく。
×
朝日の小ジャングル。
×
巌や、
泰山はどこにもない。
ただ、
小石の如く坐る。
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