詩集 夜明けの茶柱


 てふてふ

      ―与呂見村とーおじ(1950-1999)に


青菜を食べて
闘病した
露を啜って
思索した
恋愛した
瞑想した
世界はずいぶん非情で
やけに官能的だと
最後に
きみは思っただろうか
いったい
去りゆくのはどっち?
きみが世界から?
世界がきみから?



われわれ青虫芋虫を
置き去りにして
蛹になった
そんな案配の死に顔で
じっと瞑想は
きみの本領だから
なに
蝶になるのはすぐだろう



青い空
白い雲
そんなものはないか
赤い花
黄の花
そんなものもないか
翅も触覚もないだけに
気味が悪いくらいに
自由だろうか



こちらは
たしかに冬が来た
雷も大きく鳴った
きみの
新米も食べさせてもらった
思索も
恋愛も続くだろう
青虫たちは
みんな元気だ

(c) kotaro izui 1999

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