詩集 夜明けの茶柱
舟酔・二〇〇〇
ぴかぴかの
空
海
暦
つかの間のことだったが
舟も
大いに舳先を上げて
前方ニ
島影ナシ
エンジン全開!
(せめて気分だけでも)
男は
遙かに櫂を漕ぐ
・・・・・・
漂流に
漂流を重ねても
航海術は身につかず
難破に
難破を重ねても
女は
鼻唄混じり
たいしたもので
男は
櫂を打っちゃって
ごろごろ
舟酔いに苦しむばかり
・・・・・・
夜になれば
ほっとする
ぼろぼろの
空も海も暦も分別も
みんなお預け
みんなお眠り
明日は
なんだか嵐の予感
航海日誌をしたためて
ビンに蔵って
栓をする――
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