詩集 夜明けの茶柱


 天の川



天の川の端の
東に住むと
そのひとは
むかし言った

だから
夏を待って
雲一つない夜に
ねんごろに
舟を出した



天の川の
西の岸辺には
可憐な童子が
瓜二つで
住んでいる

そんな話も
あったはず
坊ちゃんたちの
笛も楽しみ



天の川に
金と緑の
手毬が
浮いていた

しずかに
目を瞑って
ひふみよいむなと
こころをついた


 ※わが宿をいづこと問はゞ答ふべし天の川原のはしの東と     良寛
 ※天の川の西の岸に、すぎなの胞子ほどの小さな二つの星が見えます。 
  あれはチュンセ童子とポウセ童子といふ双子のお星さまの住んでゐる 
  小さな水精のお宮です。           宮沢賢治「双子の星」
 ※アルビレオ…白鳥座の嘴にある二重星。金と緑の色の対比が美しい星。
 ※つきてみよひふみよいむなこゝのとをとをと納めてまた始まるを 良寛


(c) kotaro izui 2000

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