詩集 夜明けの茶柱
八月のバラード
1 夜・烏瓜
夏の闇は
柔らかく
幻想は
蔓をのばし
行く先々で
三裂五裂する
淡く
白く
烏瓜の花が
咲いている
2 朝・蜩
あけぼのの
こころひんがし
夜学の
裸の
誰だれぞ
星はとうに
流れ果てて
青く
涼しく
蜩の声が降ってくる
3 昼・向日葵
ひまわりの
こころみんなみ
真昼は
影を畳んで
空き地に
いのち大輪
賛嘆の
感嘆の
シャワー
狐の嫁入りもめでたい
4 夕・蝙蝠
黄昏は
すっぱく
あまく
愛憐は
西日に褪せて
漂い
迷い
どこからか
星と
蝙蝠が
湧いてくる
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