詩集 夜明けの茶柱


 六月のバラード



 1 お伽畑―男と女は烟っていた

どんより
雲の
あじさいの

六月
球の
憂鬱の

お伽畑で
男と女が烟っていた



 2 踊り場―隕石は泣いていた

ここは
踊り場
月光の

蛾も
人魂も集いきて
くるくる
狂う

さめざめと隕石も泣く



 3 空の泉―山椒魚は夢みていた

山椒魚は夢みていた
天の
泉の
棲み心地

変光星が
一つ
二つ
ひっそりと

かれらは
山椒魚を夢みていた

(c) kotaro izui 2000

夜明けの茶柱 詩TOP 貘祭書屋