小詩集 毛錢の雨


 蝶に



雨上がりの
まだ暗い朝に
蛹は目覚め
蝶に変身した
濡れた翅が乾くまでは
じぶんは何ものか
這うことから
飛ぶことへの
移行について
だんだん心身を調えていく

蝶だ
揚羽だ
本能だけが知っていたことを
知性が追いついて覚ったとき
誰のって
蝶の知性だよ
何かが弾け
スイッチが入り
ふわりと
世界へ舞い上がる

(c) kotaro izui 2015

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